「工程管理ツール」を活用して仕事をスムーズに進めましょう!
2019/05/21
プロジェクト管理ツール
製造業など工場での一連の業務では、可能な限りラインの稼働を最大限にし、コストを削減し、それでも品質は落とさないといった「生産性向上」を目指す必要があります。そのため、製造業の工場内でも工程管理が行われています。
『工場内での工程管理』とはどのようなものでしょうか?一言でいうと従業員の仕事量を管理することですが、この工程管理がしっかりとできていれば結果が出る一方で、工程管理ができていないと結果が出ないだけでなく、どうしてそうなったのかの原因究明もできない可能性があります。
そこで、製造業などの工場ではどのように工程管理をしたらよいのかを見ていきましょう。最近は、ツールを利用することでより確実な工程管理を行うことができるようになっています。
工程管理ができていないとどうなるのか
工程管理ができていないと生産性が落ちた場合に、直すべき箇所もわからず、また改善するにもそのとっかかりが分からない状態になってしまいます。作業現場といっても、すべてが機械で自動的に流れていくのではなく、途中に人の作業が入ったり、自動的な機械の動きに加えて人の作業が同時に行われることも少なくありません。
例えば、食品工場の場合には、仕込みを手で行い機械に流していく人もいれば、流れてきた食材の次の工程を手でこなしていく人もいます。大抵は人がやるよりも早く、正確にできる作業を機械が自動的に行い、緻密であったり目視が大事であったり、とてもデリケートな状態であったりする場合に人が行います。人力に頼らざるを得ない工程では、スキルや熟練度により出来栄えに個人差があったり、技術が習得できている人の数が少なく、時間がかかってしまい作業効率が悪いなどの問題を抱えることにより生産性が落ちてしまうのです。
一番怖いのは、工程管理をしていなければそもそも無駄が出ていることに気づかず、知らないうちに赤字となる状況を生み出しているのかもしれないということです。ヒューマンエラーの回復や個人差による作業時間がどのぐらいかわからずに、「無駄」を判断することはできません。
では、人ではなくコンピューターや自動化された機械がすべて行っていれば工程管理は必要ないのでしょうか。この場合でも、実は工程管理は必要とされています。
あらゆる仕事において、人の役割が少なくても機械が正しく動いているかの確認は必要です。機械に不具合がありエラーばかり出て停止する状態が多くあれば、結果的に損失が大きくなってしまいます。毎日の損失が膨らめば、次第に赤字が膨らんでいくのは想像に難くありません。
また、工場などの生産ラインでは上流の工程でトラブルが起きれば、その影響は以降の工程にも及んでしまうので、早期に発見しないと甚大な被害をもたらすことになるでしょう。
このように、コンピューターや機械が多くタスクを多くこなす状況であっても、人の作業と同じように必ず全体の状況を毎日把握することが必要です。そのために配置されている人=管理者がそのことを意識していなければ思ったような結果を出すことはできないでしょう。また、その意識を高めるには工程管理の重要性を理解し、仕事の効率性を高め、結果として現場全体を黒字にすることが大きなポイントと言えます。
ツールを使った工程管理のメリットとは
工程管理専用のツールを使った工程管理には、明確なメリットがあります。まず一番のメリットは、工程管理自体が非常に効率的に行えることです。簡易でざっくりと記録のみでぼやけている部分は時間を追うごとに曖昧な状態になってしまいますが、専用のツールであれば工程管理のための項目が設定されていたり、登録した内容から自動的にまとめたり分析することにより、輪郭がはっきりと見えてきて現在の状況の「見える化」が実現されます。
多くの工場や現場では、たくさんの機械や多くの人員を動員していますので、個人はおろか管理者でも全体を見通すのは難しいですが、工程管理ツールを利用すれば、従業員個々の状況と全体の状況が把握しやすくなります。無駄な部分や集中してしまっている箇所をはっきりと見ることが可能になるわけです。
生産性を上げるためには、一般的には一人一人の効率を上げるよりも無駄な部分をカットしていく方が効率的です。無駄な部分を無くすことは工数を軽減するだけでなく、費用対効果を上げることにもなります。
例えば、ある機械にエラーが多く出ており、修理や無駄な時間がどのぐらいあるかが可視化された場合には、その時間を減らす改善を検討することができます。復旧作業の平均時間がわかっていれば、エラーが出やすい部分に人を配置してすぐに復旧作業をすることが良いのか、そもそも新しい機械を購入してエラー自体を完全になくしてしまう方法が良いのかが検討できます。
人が主として作業する場面でも同じです。もし特定の人が作業しているときにラインが止まることが多かったり、廃棄量が多くなっているなどの課題がある場合は再教育が必要になるでしょう。もし、教育をしてもそれほど効率よく改善されなかったとすれば、人を入れ替えて解決を図ることを検討するべきです。ただ、人間は機械と異なるため解決方法も単純ではなく難しいのですが、工程管理に加え人材の分析も行い適材適所の考え方でその場所にふさわしい人を配置するのも、重要な管理者の仕事と言えるでしょう。
工程管理ツールの種類
工程管理をするためのツールにはいくつか種類がありますが、一般的な機能やそれぞれの特長、その現場での課題などを理解しておけばその工場にふさわしいものを選択することができるでしょう。パソコンやデバイスを使用して更新・分析を行うアプリ系のツールは有料のものがほとんどですが、簡単に共有できたり分析が自動で行われるなど大きなメリットがあるのでオススメです。
パソコンで使用する工程管理ツールを検討するときのポイントの一つは、最低限必要とする条件をイメージして、それが備えられているかをチェックすることです。「タスク管理があるか」など機能のチェックももちろんですが、何名で使う必要があるのか(アカウント数)、どうやって閲覧・共有できるのか、利用環境(デバイスやOS)はどうかなど、インフラ的な要件も必ずチェックしましょう。
二つ目のポイントは無料トライアルのある工程管理ツールかどうかです。今まで使ったことのないツールの操作性・見栄え(可視性・可読性)などのユーザビリティを判断するには、まず使ってみるのが一番です。
また、説明にある機能が良さそうだと思っても、実際に使ってみないと自分たちの現場に適しているのか判断するのは、ITの技術者であっても難しいものです。作業工程や作業結果などを記録できればそれで用が足りるのか、それとも情報を簡単に分析データとして確認できる必要があるのかなど、利用経験のない機能は判断するのが難しいものです。
とはいえ、いきなりゼロから使用するのは難しいので、まずはデモンストレーションを販売会社に依頼して、「どんな風に使うのか」イメージするための場を持つことも重要です。ITの専任者以外の利用予定者にも参加してもらい、その場で質問に答えてもらうなどし「自分事化」の意識を持たせることも導入前には必要でしょう。
さらに、無料でのトライアルでも、そのまま製品版に移行でき継続して使用できるツールを選ぶと、より本気で工程管理ツールのチェックができます。「導入検討者が簡単に使ってみればいい」と思う方も多いと思いますが、あらゆる機能を漏れなく試すには、できるだけ多くの人と一緒に触ってみることが特に工程管理ツールなどの共有機能があるツールでは重要です。
一番良いのは実際の工程管理を試用期間中に実行してみることです。製品版にデータを引き継げる工程管理ツールであれば、実際に使って気に入れば契約してそのまま使い続ければいいので、実際に使う人たちも「どうせお試しなんでしょう?」「消えちゃうデータを入れても無駄じゃないか?」といったストレスを感じずに「本気で」試用することができるでしょう。
また、情報の管理(セキュリティ)がしっかりしているのかも重要なポイントです。細かいタスクや納期などのスケジュールが外部に漏れて、機密情報の漏洩なみにトラブルになる危険性はできるだけ排除しましょう。
理想的な工程管理とツールの導入の仕方
ツールを使用して工程管理を効率的に使うには、ユーザビリティが良く環境に即したツールを選ぶことが大切ですが、ツール導入の仕方も重要になります。
まず、効率的なツール導入に欠かせないのは、実際に使う人たちの理解です。現場の作業者の中には、普段パソコンなどの操作に慣れていなく、ツールの利用に抵抗がある人もいるでしょう。事前に研修などを行い、なぜ工程管理ツールを導入するのか、それによりどんな効果があるのかを説明することが大切です。
次に管理者すべてが日頃の登録はもちろん、どのように管理や分析に活かすのかを知り完全に使えるようにしておく必要があります。そのためには、ツール自体がわかりやすく、シンプルで直感的に使えるものでなければなりません。当然、管理者以外の使用者にも研修は必要です。会社にはコンピューターに詳しい人から疎い人までスキルに個人差がありますので、すべての人たちが操作できる状態にしておくことが大前提です。
今まで見えなかった部分を工程管理ツールで見えるようにした結果、どこの部分に問題があるか、どんな課題があるかが明確になります。すべての改善活動の前段階には、課題があることを理解することが必要です。ツールの力を借りるとともに社内コミュニケーションを十分に持ち、課題意識を持って改善できる点はしっかりと修正していきましょう。
また、工程管理ツールを利用することにより、予実管理をしっかりと行うことが出来るようになります。予実管理とは、予定されている内容と実行された内容を管理し比較することですが、その2つの情報を比較し大きな隔たりがなければ理想的な流れができていることがわかり、隔たりがある場合には何らかの対策を立てる必要があることがわかります。これを繰り返すことにより、今まで見えていなかった問題を改善することができ、作業自体の効率化につながっていくでしょう。
すでにITの現場では当たり前になっているツールでの工程管理ですが、シンプルで分かりやすいツールを選択することで工場などでも効率的な工程管理が可能になります。うまく活用すれば無駄をなくし、仕事自体がスムーズに流れるようになり、利益を伸ばすことが出来るでしょう。