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プロジェクト管理における人的資源マネジメントと調達マネジメント

2019/05/23

プロジェクト管理ツール

人的資源マネジメントのイメージ

プロジェクト管理を成功に導くためには「人的マネジメント」や「調達マネジメント」が重要な役割を担います。しかし、具体的に何をどうすればいいかプロジェクト管理を行うプロジェクトマネージャーが把握・理解していないと、チームの力を最大限発揮させることが難しく、プロジェクト全体にネガティブな影響を及ぼす可能性もでてきます。

プロジェクトの遂行と人員と調達

多くのプロジェクトは関係者複数人のチームで遂行するものですが、役割やスキルの異なるスタッフでチームを組織し、広く全タスクを見渡し、プロジェクトが良い方向に進むよう育成しながら活動することが必要になります。そのようにチームの管理をしっかり行うことで、チームのパフォーマンスを向上させ、最終的な目的である「プロジェクトの成功」へ導くことができます。

また、プロジェクト管理を遂行するにあたってステークホルダーと言える外部業者との調整も欠かすことができません。プロジェクトを成功に導くためには必要な物やサービスを予算内で必要な時に準備する必要があります。そういった「調達」は、契約のマネジメントが必要です。

PMBOKにおける人的資源マネジメント

『プロジェクトのチーム』とは、いったいどこまで含まれるのでしょうか。制作側はもちろんのことですが、顧客やスポンサーといった関係者(ステークホルダー)もチームの一員と考えるべきです。遂行しようとするプロジェクトは、ステークホルダーの要望から生まれたものが大半ですので、そのニーズを的確に捉えるためにはその当事者の参加は不可欠と言えるでしょう。『人的資源』とはかなり広範囲を示すのです。

PMBOK(Project Management Body of Knowledge/プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)では、広範囲な人的資源をマネジメントするために、プロジェクトの人的マネジメントを、「人的資源マネジメント計画」「プロジェクト管理のためのチーム編成」「プロジェクト管理のためのチーム育成」「プロジェクト管理のためのチームマネジメント」の4つのプロセスで構成しています。一つ一つ紹介していきましょう。

1)人的資源マネジメント計画
必要な人員の役割や調達、育成などのマネジメント方針を計画して決めます。

2)プロジェクト管理のためのチーム編成
必要な人員を調達し、プロジェクト管理を強固なものにするためのチームを編成します。

3)プロジェクト管理のためのチーム育成
必要な人員のスキルやチームワークを強化し、プロジェクトに対してのパフォーマンス向上をさせます。

4)プロジェクト管理のためのチームマネジメント
プロジェクトを遂行していくにあたってのチーム全体の課題を解決し、パフォーマンスの質を維持します。

人的資源マネジメント計画

人的資源マネジメントでは、最初にそのプロジェクトに必要な人員のマネジメント方針を決めます。それぞれの役割や責任の範囲、その責任に見合った権限を決め、さらにそれぞれをどのように調達し、パフォーマンス向上のためにどのように育成するかについても決める必要があります。

RACIチャートといった組織図と職位記述書の技法を用いて人的資源マネジメント計画書を作成します。

RACIチャート

RACIチャートはプロジェクトを進めていくにあたって、それぞれの役割を明確にするためのツールです。どのように役割分担を決めていくかの具体的な内容は以下の通りです。

1)実行責任者(Responsible)
作業を実行することに責任を負います。

2)説明責任者(Accountable)
作業の進歩状況を説明することに責任を負います。

3)相談対応(Consult)
作業の実行を支援し、必要なアドバイスを行います。

4)情報提供(Inform)
作業の進歩状況の報告をします。

以上の役割を個人やチームにマトリックス形式で割り当てます。プロジェクトに関わる人々をRACIチャートに沿って役割分担を行うことによって、それぞれの役割が明確になります。またプロジェクトの管理においての責任や役割の所在がすぐに把握できるだけでなくチームの人々がお互いの役割を把握することができ、チーム内で動きやすくなります。

人的資源マネジメント計画書

人的資源マネジメント計画書は、「役割と責任」、「プロジェクトの組織図」、「要員マネジメント計画書」で構成された「ガイドライン」です。要員マネジメント計画書の内容は以下になります。

1)要員調達
調達先や作業場所、コストなどを明記します。

2)資源カレンダー
作業期間や調達時期など、要員の可用性を明記します。

3)要員ヒストグラム
月日を横軸、作業時間や要員数を縦軸にしたヒストグラム。

4)要員離任計画
要員が離任する際の方法や時期を明記します。

5)表彰と報奨
表彰と報奨の基準と運用計画を明記します。

6)トレーニングのニーズ
要員のスキル強化のための計画を明記します。

7)法令順守
守るべき法令とその運用を明記します。

8)安全
安全や健康などを考慮した方針を明記します。

プロジェクト管理チーム編成

人的資源マネジメント計画書の内容に沿って組織を作ります。プロジェクトに必要な能力を持つ人員の調達には、その特定の技術を持つものを前もってアサインする必要があります。その際は、内部だけではなく外部からもチームに加わることもあり、また、遠隔地にいる要員の場合もあります。特に遠隔地の要員については、直接顔をあわせることがないため、コミュニケーションを取るためには「電子メール」や「電話会議」などの手段を取る必要があります。

資源カレンダー

要員の管理には、プロジェクトに「誰が」、「いつ」、「どの程度」参加できるかを明記しておきます。また、資源カレンダーには要員以外にも、「施設」や「機器」などの活用計画も併せてまとめます。こうすることでプロジェクト内外問わず、プロジェクトの進行に関わる情報を共有する際に役立てることができます。

プロジェクト管理チーム育成

プロジェクト管理チームのイメージ

チームパフォーマンスの向上は、各要員のスキルを向上させるだけではなく、チームワークを促進する環境も必要になります。チーム内で協調性がなければ高いパフォーマンスを発揮することができません。

チームとしての活動が重要で、チーム構成員間でオープンに淀むことなくコミュニケーションが取れるように促進し、適切な表彰と報奨を設定することで強化されます。そのあとのパフォーマンスを適宜評価し、チームの状況を明確にします。

チームの状況を把握するために使われる「タックマンモデル」を利用すれば、チーム育成に必要な処置が明確になります。
タックマンモデルとは、チームの成長を以下の4つの段階に分けて考えるフレームワークです。

1)形成期
メンバーはお互いのことを知らず、共通の目的等もわからず模索している段階。

2)混乱期
役割や責任について意見を持つようになり、対立が生じる段階。

3)統一期
自身の行動が確立され、他人を受容し、信頼関係が生まれる段階。

4)機能期
チームとしての結束力が生まれ、チームワークが発揮される段階。

5)散会期
作業の完了や目的の達成に伴い、プロジェクトから離任する段階。

プロジェクト管理チームマネジメント

プロジェクト管理チームマネジメントは、パフォーマンスの確認と課題解決を行うプロセスです。チームは様々な要員から構成されていることから、ときに意見のぶつかり合いが生じます。これに対応するための「コンフリクトマネジメント」が重要になってきます。

コンフリクトマネジメントを行ったあとに対象となった要員の状況を更新し、プロジェクト管理に支障が出る可能性の場合は「統合変更管理プロセス」に変更要求を出し、解決に向けます。

コンフリクトマネジメント

複数人で行う作業には、当然といってもいいほど「コンフリクト」が発生します。コンフリクトとは、複数の人が存在した場合に当然生じる相反する意見や態度、要求などに、お互いに譲らないことで生じる緊張状態のことです。

この対応で注意すべき点としては、チームとして当事者の立場になりますので、明らかにコンフリクトを起こしている本人たちだけではなく、チームとして全体の課題であると認識すべきところです。コンフリクトマネジメントに用いる解決方法は以下の通りです。
1)強制
他者を押しのけ、自分の観点を強制的に押し付けます。

2)撤退
発生している問題や潜在的問題を先送りにします。

3)鎮静
同意できる意見を強調し、落とし所を探ります。

4)妥協
両当事者がある程度満足できる案を模索します。

5)協力
異なる意見や複数の視点を取り込みます。

6)問題解決
様々な手段を検討して、両当事者が問題解決に取り込みます。

状況に応じて、これらの手段から適切なもの選択、または組み合わせて早期にコンフリクトを解消することが大切です。

調達マネジメントとは

プロジェクト管理における調達は、契約したらそのまま終わりになるのではなく、必要なサービスや物品の選定から検収までがマネジメント対象になります。

調達計画

プロジェクト立ち上げの際に作成したプロジェクト管理計画書や要求事項文書から内容を確認し、調達すべきものを具体化します。そして必要なものが内製で対応できるか、あるいは外注になるか検討します。

外注で対応することになれば、「いつ」「何を」「どのように」対応していくか、それらのマネジメントをする必要があります。プロジェクトマネジメント計画書の補助計画書である調達マネジメント計画書としてまとめ、それに沿って契約終結まで対応していきます。

引合計画と引合

調達する物品やサービスの要求事項を定義し、発注先をリストアップし選定するための評価基準を明示します。そして最終的に発注先から見積もりや要求事項に関した回答を得て、発注先選定まで行います。

そのために「調達文書」と呼ばれる、以下の4つの文書を作成します。

1)情報提供依頼書(RFI Request For Information)
調達の事前準備として、業者(ベンダー)の提供可能なサービスや実績の情報を提供してもらうための情報提供依頼書です。これを基に作られるのは「RFP」なのです。

2)提案依頼書(RFP Request For Proposal)
業者に提案して欲しい提案依頼書になりますが、提案の範囲や骨子、方法、コストが詳細に記述する必要があります。逆に言えば、業者が自由に出来る提案が限られてしまします。

3)入札招請書(IFB Invitation For Bid)
納入者に対して調達に入札するよう求める文書です。

4)見積依頼書(RFQ Request For Quotation)
業者に対して、サービスや物品の価格、数量や仕様などの内訳を記した見積もり書を作成するように依頼するための文書です。

入札説明会や入札公告を行い、適切な納入業者と契約するために、プロジェクト管理の調達マネジメント計画書と調達文書を基に納入業者を選定し、調達交渉を行い、合意書を取り交わします。

契約管理

発注先と契約を結んだあとは、そのパフォーマンスを監視しなければなりません。契約管理は、契約期間の間その状況を管理するプロセスを言います。進歩の管理や品質管理を行いながら、必要に応じて変更や是正を行う必要があります。変更が生じた場合は、変更要求をする必要もあります。

調達に関わる全ての作業や成果物を検証し、受け入れを検討します。問題なく検収が合格であればそこで「契約完了」となりますが、否かの場合は、発注先に対してその旨を通知し、再び調達コントロールプロセスに戻ります。

何事もなく調達終結するためには、発注する側が要求事項を明確にする必要があります。調達終結のプロセスは、そういったトラブルや課題、紛争をまずは起こさないようにスコープを明確にして実施することが不可欠なのです。

最悪のトラブルが生じた場合は、当事者の和解が望ましいですが、困難な場合は仲裁や調停、最悪の場合は裁判所への提訴にて対応する必要もあるということを肝に銘じて、具体的かつ明瞭な調達計画をプランニングするようにしましょう。

人的資源マネジメントと調達マネジメントの重要性

いかがでしたか?プロジェクト管理における「人的資源マネジメント」と「調達マネジメント」が如何に重要かをお分かりいただけたのではないでしょうか。

社内、社外に関わらずプロジェクトに関わる人員からプロジェクトに必要な物品やサービスに対しても、詳細な計画がプロジェクトの成功には欠かせません。特に多くのタスクを外注で行うと、さらに発注先の選定や成果物の品質のコントロールは、社内のそれをマネジメントする以上に大変である場面が多いでしょう。

出来れば余裕を持ってトラブルがないように調整し、変更があった際の情報共有やトラブル回避の対応も速やかに行うことも求められます。このように、プロジェクト管理における人的資源マネジメントと調達マネジメントはプロジェクトの成功に関わる重要ポイントになるのです。

プロジェクト管理マネジメントを効率化するツール

ここまで、プロジェクト管理における2つのマネジメントに必要な作業や具体的な対応方法をみてきましたが、マネジメントをより効率化するためには「ツールの導入」を検討する必要があります。

ツールを導入することで、メンバーが変更になったりタスクの作業時間、優先順位などが変更になっても手早くプロジェクトの詳細の変更をして可視化できます。より専門に特化したツールを使うことで情報の連動などで手作業が減り、より修正作業の時間が短縮できます。

さらに、WBSやガントチャート、個人のスケジュールが一元管理できるツールを用いることで、個々の作業量やいつ作業するかなどの詳細も容易に確認することができます。プロジェクト管理者だけでなく、チーム全員でプロジェクト全体の進歩状況の確認ができますので、チームメンバーのトレーニングやコンフリクト対応のための時間を効率的に設けることができます。

プロジェクトを成功に導くためには、特定の能力を持った要因で構成されたチーム組織が必要であり、そのチームのパフォーマンスを高め力を発揮させることが目的です。各要員の役割と責任を明確にし、お互いのことを把握し、チームとして動かなければなりません。それには、効率よくマネジメントするためにはツールが有効なのです。

人的資源マネジメントと調達マネジメントには、人間関係のスキルも必要不可欠です。お互い気持ちよく自分の役割を果たし、プロジェクト達成に導くマネジメントは容易なことではないと言えます。

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