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プロジェクトにおけるスコープとステークホルダーの管理

2019/04/04

プロジェクトマネージメント

プロジェクト管理のイメージ

プロジェクト管理では、「PMBOK(ピンボック)」というガイドが世界的に使われています。「PMBOK」はProject Management Body of Knowledgeの略で、プロジェクト管理に必要となる知識を体系化したもので、10のマネジメント領域と5つのプロセスから成り立っています。

その中の「10のマネジメント」領域は「統合マネジメント」「コストマネジメント」「タイムマネジメント」「品質マネジメント」「人的資源マネジメント」「コミュニケーションマネジメント」「リスクマネジメント」「調達マネジメント」と並んで「スコープマネジメント」と「ステークホルダーマネジメント」があります。

今回は、この「スコープマネジメント」と「ステークホルダーマネジメント」について解説していきます。

スコープマネジメントとは

プロジェクト管理におけるスコープマネジメントとは、先ほども説明したように「PMBOK」で定義されている10の知識エリアの1つの領域です。

スコープマネジメントの役割としては、その名の通りプロジェクトにおけるスコープ(範囲)を決めることです。そしてプロジェクトの最終成果物・目的達成を明確にし、そこに対するブレなどを調整する役割とそれに伴うタスク(仕事)を管理する役割をスコープマネジメントでは担います。

スコープマネジメントはなぜ必要なのか

取引先から大きなプロジェクトを依頼されました。取引先が求めるコストで要求された成果物と期間内の納期をこなすことが顧客満足の向上につながり、依頼されたプロジェクトの管理をしっかりと行えた実績となります。

この一連の流れと結果がプロジェクトにおける目標の達成とされるでしょう。

しかし、それらの要求のすべてを完璧にこなすのは現実的には難しいものです。そのため顧客の求める成果物を明らかにし、それを達成するためにプロジェクトで行わなくてはいけない仕事の範囲を決めます。そして「必要な予算」「期間」「品質」といった情報をしっかりとプロジェクト管理の中に落とし込み、プロジェクトの作業範囲を管理する必要があります。そして現在持っているデータをもとにそれらを実行し、目標達成へと進めていきます。

しかし、プロジェクトを進めていく上で初期段階での計画からズレなどが乗じる場合も多々あります。そんな時にプロジェクトを進めていく範囲の調整を行います。

このように初めの範囲からプロジェクトを進めていく上で都度確認、微調整をおこない範囲を変えていくことがプロジェクト管理におけるスコープマネジメントの役割になります。「スコープマネジメント」では、プロジェクトを進めていく上で顧客の要望が目的に合致しないときは、そのままプロジェクトの内容を変えるのではなく要望に関係が深い人をプロジェクト管理に巻き込み、顧客の必要なニーズのみを引き出す必要が出てくる場合もあります。

スコープマネジメントにおける各工程の実施作業

「スコープマネジメント」を実際にプロジェクト管理で活用していくにはいくつかの工程があり、その工程は「スコープマネジメント計画」「要求事項収集」「スコープ定義」「WBS作成」「スコープ妥当性の確認」「スコープコントロール」の6つに分けることができます。ではこの6つの工程について詳しく紹介します。

まずスコープマネジメントの6つの工程に分けるとこのようになります。

スコープマネジメント計画

プロジェクト管理におけるスコープの定義やマネジメント方法などの方針を文書化します。

要求事項収集

プロジェクトを進めるにあたってステークホルダーのニーズを定義し、文書化します。

スコープ定義

プロジェクトの要素成果物と作業を詳細化します。

WBS作成

進めていくプロジェクトの要素成果物の作業を要素分解し、WBSを作成します。

スコープ妥当性の確認

進めていくプロジェクトの要素成果物の受け入れ可否を顧客が判断します。

スコープコントロール

進めていくプロジェクトのスコープベースラインに対する変更を管理します。

6つの工程の役割

「スコープマネジメント計画」「要求事項収集」「スコープ定義」「WBS作成」「スコープ妥当性の確認」「スコープコントロール」この6つの工程の役割をより詳しく説明していきましょう。

スコープマネジメント計画

進めていくプロジェクトの範囲(スコープ)を決めるため会議や専門家の判断を参考とし、スコープの定義、検証、マネジメントをするためのガイダンスの役割をまとめ、スコープマネジメント計画書と要求事項マネジメント計画書を作成します。

「スコープマネジメント計画書」にはスコープの定義、検証、文書化、マネジメント実施方法が記載され、「マネジメント計画表」には顧客のニーズの収集方法と整理方法が記載されています。

要求事項収集

ステークホルダーマネジメント領域で作成した登録簿を基に、プロジェクト関係者に直接ニーズを聞き取り、プロジェクトの内容を詳細に定義し、そしてさらに詳細に文書化するプロセスです。また、プロジェクトの最終成果物に対して適切な処理になっているかを確認することがこの項目で必要です。

スコープの定義

プロジェクトの憲章と要求事項で得られた情報を基にプロジェクトスコープを作成します。詳細に記述する必要があるため、ステークホルダーの方々だけではなく、開発担当者と打ち合わせを行い、要素成果物と作業を具体していきます。また、実現が困難な場合は代替案を検討し、実現へのアプローチをします。

ここで定義するものの例は以下になります。

・プロジェクトの前提条件
・成果物と要素成果物
・タスク内容と方法

WBS(Work Breakdown Structure)作成

WBSは「プロジェクトを構成する作業を分散して構造化する手法」です。そしてPMBOKの中では、それを達成するために必要な資源や時間を見積もります。スコープマネジメント計画書を明確に記載するためには、このWBSを利用します。

スコープ妥当性の確認

「スコープマネジメント計画」「要求事項収集」「スコープ定義」「WBS作成」の工程で練ってきた作業からできた要素成果物をステークホルダーの方々に確認してもらう作業をここでします。

スコープコントロール

プロジェクト進歩状況を監視し、要素成果物の作成状況とスコープ計画書照らし合わせながらプロジェクトの進め方、方向性などを確認します。差異が生じた場合は、是正処置案を作成し、統合マネジメント領域の統合変更管理プロセスに対して変更要求を行います。

顧客のニーズを正しく理解し、目標達成のために必要な作業を洗い出し、詳細化にすることでプロジェクト管理が進めやすくなります。もちろん、そういった計画を作成するだけではいけませんので、しっかりとマネジメントをすることでその効果が発揮されます。

ステークホルダーをマネージメントすること

ステークホルダーマネジメントのイメージ

今まで「スコープマネジメント」について紹介してきましたが次は「ステークホルダーマネジメント」について紹介していきます。

「ステークホルダーマネジメント」もプロジェクト管理に欠かすことができないPMBOK(Project Management Body of Knowledge)の10のマネジメント要素の1つです。プロジェクトを成功に導くためには、10のマネジメント要素それぞれのマネジメントが単独ではなく連携している必要があります。

10の領域マネジメントの中の「ステークホルダーマネジメント」については、そもそも「ステークホルダーとは一体」「なぜマネジメントが必要」などに疑問に思う方もいると思うのでそこから解説していきます。

ステークホルダーとは

ビジネスシーンでよく耳にする「ステークホルダー」という言葉の意味を皆さんはご存知でしょうか。ステークホルダーとは、企業経営における利害関係者という意味で使用されています。具体的に例をあげるとすれば「株主」「経営者」「従業員」「顧客」「スポンサー」などでしょう。

ステークホルダーマネジメントとは

プロジェクト管理をする際は、そのプロジェクトに影響を及ぼすステークホルダーを明確にする必要があります。その理由として、ステークホルダーはプロジェクトを進めていくにあたって意思決定や実行に関与することが多く、協力を必要とする場合もあるからです。

プロジェクトを進めていくにあたってステークホルダーに問題なくプロジェクトに参加しもらえればいいのですが、中にはプロジェクトに対して反対意見を持つステークホルダーもいます。

そのような場合プロジェクトにマイナスな面で影響を及ぼす恐れが出てくるので、ステークホルダーが「どのような期待をしているか」「プロジェクトに対してどんな影響を与えるか」の分析をしっかりとおこない、ステークホルダーにプロジェクトに協力していただけるように働きかける必要があります。

ステークホルダーマネジメントの実施作業

プロジェクト管理で用いる「PMBOK」におけるプロセスのなかで、ステークホルダーマネジメントは「立ち上げ」「計画『実行』」「監視・コントロール」とほぼすべてのプロセスで実施タスクがあります。

ステークホルダーの特定

ステークホルダーに関する情報「ステークホルダー登録簿」やプロジェクト憲章と調達文書からプロジェクトに影響を与える人や組織を洗い出し、プロジェクトにおけるステークホルダーの役割と影響度を特定します。

ステークホルダーの分析マトリックス

ステークホルダーの対策をおこなうためには、ステークホルダーの持つ権力と関心度から分析します。この場合ステークホルダーに関する表を作るにあたって縦軸には「権力」があり上の方は権力が高いことを意味するように作成します。横軸には関心度を示し、右に行くほど関心度が高くなるように表を作成します。

そのほか左下「監視」、左上「満足の保持」、右上「確実に対応」そして右下は「報告の保持」を表記させるように作成します。

プロジェクト管理ステークホルダーマネジメント計画

ステークホルダーを特定したうえで、ステークホルダーにプロジェクトに積極的に関与してもらうようにマネジメント計画を立てます。分析技法を用いてステークホルダーマネジメント計画書を作成します。

分析技法

ステークホルダーの現状とプロジェクトで期待する「立ち位置」を定めるために分析していきます。立ち位置としては「不認識」「抵抗」「中立」「指示」「指導」となります。
例えば「A氏」というステークホルダーに対して、現状の立ち位置としては「抵抗」となりますが、目標は「中立」とし、そうなるように働きかける活動をします。

ステークホルダー・エンゲージメント・マネジメント

ステークホルダーと適切なコミュニケーションを取るために、ステークホルダーマネジメント計画書とコミュニケーションマネジメント計画書にて定められたコミュニケーション方法や戦略方法を基に、ステークホルダーとコミュニケーションを取り、ニーズや期待に応え、プロジェクトへの関与強化を促します。

その働きかけによって変更点が生じた場合は、変更要求を行います。

ステークホルダー・エンゲージメント・コントロール

プロジェクトが進行するにつれてステークホルダーの気持ちも変わってくることも場合によりあります。そのため、ステークホルダーとの関係はプロジェクトを進めながらこまめに監視、場合によってはステークホルダーに対してプロジェクトに関する進行具合などの報告をおこなう必要があります。

最後に

いかがだったでしょうか。プロジェクト管理をする上では、プロジェクトの範囲(スコープ)を決め、こまめに微調整を行うことと、プロジェクトの関係者(ステークホルダー)をコントロールする必要があることがお分かりいただけたのではないかと思います。

何を行うにも「作業範囲」(スコープ)は明確にすることが重要です。また、プロジェクトにはさまざまなステークホルダーが関わり、マネジメントするのは直接的にプロジェクトを進める取引先や社内の人間だけでないことがお分りいただけたと思います。

プロジェクト管理を行う上でステークホルダーは意外と盲点となる場合があるので、気をつけてください。

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