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OODAループ ~マネジメントの革命~

2019/08/08

プロジェクトマネージメント

OODAループのイメージ

ビジネスにおけるマネジメント理論は軍事学の分野から輸入され、ビジネス向けに調整されたものが多くあります。

産業革命の時代からしばらくは、カール・フォン・クラウゼヴィッツが記した「戦争論」に基づく組織論や戦略論がビジネスの現場において適用されていました。そして現代では、アメリカ空軍のパイロットであったジョン・ボイド大佐の提案に基づく「OODAループ(OODA Loop:ウーダループ)」という意思決定理論が適用されています。

国際政治学者のコリン・グレイはOODAループを指して「あらやる分野に適用できる一般的な戦略理論」とまで評価しています。世界中の軍隊がOODAループに影響を受けたほか、特にアメリカで成功した多くの企業がOODAループを取り入れていることで知られています。

今回はOODAループについて、日本の企業に多く見られるPDCAサイクルとOODAループとの比較、ビジネスの現場においてOODAループを導入する際に気を付けるべきことなどをご紹介します。

OODAループとは

OODAループとは4つのステップを繰り返すことで迅速かつ柔軟な意思決定を実現する理論のことです。ごく簡潔にOODAループを説明すると、観察(Observe)、状況判断(Orient)、意思決定(Decide)、行動(Act)という4つのプロセスを繰り返す(ループ)ことで、目的を達成する、というものです。

OODAループは元々、航空戦におけるパイロットの理想的な意思決定プロセスをモデル化したものでした。ジョン・ボイドは自身もパイロットを務めた経歴を踏まえ、パイロットが戦果を挙げるために最も重要なことは意思決定と行動の速さであるとしました。また、迅速な意思決定と行動を実現するためには情報収集と状況判断が重要になると述べました。
元々はパイロットという個人単位の意思決定プロセスをモデル化したOODAループですが、後に軍における指揮官の意思決定にも応用されるようになり、さらにはビジネスや政治といった他の分野にも応用されるようになりました。
日本では入江仁之氏がOODAループのオーソリティであり、著書が大きな反響を呼んでいます。

それではOODAループのプロセスについて解説していきます。

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観察(Observe)

端的に表現すると、情報を収集するプロセスです。収集される情報は一次的なもの、つまり生のデータであることが望ましいとされます。
観察によって得た情報を有用な情報へ「加工」するのは、次のステップである状況判断のプロセスに任せられます。

状況判断(Orient)

収集した情報に基づいて、意思決定者が状況を理解し判断する段階です。観察によって得られた「データ」から利用可能な「インフォメーション」を抽出する作業である、と言い換えることもできます。
状況判断は、OODAループにおいて最も重要な段階であるとされています。状況判断の結果によって意思決定の内容が左右され、その後の行動にも影響するためです。
意思決定者はそれぞれ様々なバックグラウンドを持っており、同じデータを提示されたとしても意思決定者ごとに異なる判断を下します。正しい判断を下すためには豊富な知識や経験、分析能力や直観といった多様なスキルが必要となります。
なお、状況判断のプロセスにおいて何より重要なことは、その時々の状況判断が正しかったか否かではなく、直前の状況判断が誤っていた場合にそのことに気づけるかどうかです。OODAループでは状況判断のプロセスにおいて誤りの修正が求められます。

意思決定(Decide)

文字通り、状況判断に基づいて次に取るべき行動を決定する段階です。何をするべきかという直近の目的を設定し、目的達成のための手段を策定し、場合によっては計画も立案します。また、まだ実行に移るべきでないという意思決定がなされた場合はすぐさま観察のプロセスへ戻ります。

行動(Act)

これも文字通り、実際の行動に移す段階です。意思決定によって下された決定に基づいて、プロジェクトのメンバーが実行へ取りかかります。

ループ(Loop)

行動の結果はすぐに観察の段階に反映され、続く状況判断において評価されます。目的が達成されるまでOODAのプロセスを高速で回転させることにより、プロジェクトはより最適に近い行動を取り続けることができます。

PDCAサイクルとの比較

PDCAサイクルは元々、工場の生産性や品質管理の効率化を目的として、日本科学技術連盟(日科技連)が作成したものです。エドワーズ・デミングという統計学者によって提唱されたものと言われがちですが、実際にはデミングが日本で品質管理における統計手法について講演した際に、これを聞いた日科技連の幹部がPDCAサイクルを提唱したと言われています。

簡単におさらいしておくと、PDCAサイクルとは計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)というプロセスを回す(サイクル)ことで生産性や品質向上を目指すものです。PDCAサイクルはまた、具体的な統計に基づいて稼働すべきノウハウでもあります。

PDCAサイクルは明確な見通しを立てられるプロジェクト、つまり工場の生産ラインや、品質管理など、計画を立てやすいプロジェクトにおいては現在もなお有用なノウハウです。
一方、OODAループは明確な見通しを立てづらいプロジェクト、つまり新規性の高いイノベーションや、不確実性の高い分野に挑むプロジェクトにおいて有用なノウハウです。
PDCAサイクルとOODAループはそもそも適用される目的が異なります。したがって簡単に比較することはできないのですが、あえてそれぞれの違いを述べるなら以下のようになるでしょう。

・計画を立案する段階が違う

PDCAサイクルは最初に計画を立案します。対して、OODAループでは意思決定の段階において必要であれば計画を立案します。PDCAサイクルは実行した結果が計画からズレていないかどうかを評価し、改善策を検討するものです。
一方、OODAループにおける「計画」は目的を達成するための一手段であり、不要であれば計画を立案しませんし、必要であれば事前の計画を破棄して新たな計画を立案します。

・重みを持つプロセスが違う

PDCAサイクルでは特に評価と改善に重きが置かれます。よくある失敗例として、評価した結果が改善に繋がらなかったり、十分な評価ができなかったりと改善策を講じた、というものが挙げられます。
対して、OODAループでは状況判断のプロセスが最も重要であるとされています。状況判断が悪ければ意思決定は不適切なものとなり、それに伴って行動も不適切なものとなります。仮に行動の結果が目的に反していた場合、観察を通した状況判断のプロセスにおいて「先の状況判断が間違っていた」という新たな状況判断がなされる必要があります。

・行動(実行)が繰り返されるスピードが違う

PDCAサイクルは構造上、評価の段階でプロセスが停滞しやすく、結果的に実行のプロセスが繰り返されるスピードも落ちてしまいます。工場の生産性向上や品質管理といった、慎重を期すべきプロジェクトにおいては有用ですが、スピードが重視されるプロジェクトには向きません。

OODAループでは意思決定がなされたらすぐに行動します。行動の結果は観察を通じて状況判断に利用され、次の意思決定がなされます。元々、航空戦というスピーディな状況においてパイロットが迅速かつ的確な意思決定を行うためのノウハウとして形成されたものであるため、不確定な状況においても成果を出す必要のあるプロジェクトに向くのは当然のことといえるでしょう。一方で、OODAループはある程度のミスを許容する構造となっているため、ミスが許容できないプロジェクトには向かないと言えます。

・停滞しやすいプロセスが違う

先述したように、PDCAサイクルでは評価の段階でプロセスが停滞しやすいというデメリットを持っています。また、評価は「計画に沿っているか否か」が軸となるため、減点方式になるケースが多く、ステークホルダーのモチベーションが上がりにくいという弊害もあります。
ではOODAループではプロセスが停滞しないのかというと、残念ながらそうではありません。特に意思決定に関わる者が複数いるとき、状況判断の結果が異なるケースが往々にして生じます。この場合は意思決定のプロセスに移れなくなり、ループが停滞してしまいます。この状態はOO-OO-OOスタックと呼ばれ、OODAループを導入する際の難しいポイントともなっています。最もシンプルな解決法は最終的な意思決定者を一人にすることですが、組織には様々なしがらみや権力関係が存在するため、意志決定者を一人にすることが難しい場合も往々にしてあります。

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繰り返しになりますが、PDCAサイクルとOODAループは適用される目的が異なるため、簡単に比較することはできません。PDCAサイクルもOODAループもマネジメントのための「ツール」であって、絶対に遵守すべき金科玉条ではありません。プロジェクトによってどのツールが向いているかは違うため、闇雲にOODAループを採用することは控えるべきでしょう。
次の項では気を付けるべきことについて解説していきます。

OODAループを導入する際に気を付けるべきこと

第四次産業革命に移行するイメージ

現代は第四次産業革命に移行しつつある段階です。経済活動だけでなく、ライフスタイルや公共サービスにも様々な変化が起きつつあります。

事前の計画を前提とするPDCAサイクルに限界を感じている人も多く、プロジェクト管理のためにOODAループを導入しようと考えている人もまた多いようです。ですが、OODAループを導入する際には気を付けるべきことがいくつかあります。

第一に気を付けなければならないのは、明確で具体的なビジョンを示し、ステークホルダーへ共有することです。重要なことは計画に従うことではなく、観察、状況判断、意思決定、行動といったそれぞれのプロセスがビジョンの達成に結びついているかどうかです。

厳しい表現になりますが、ふんわりとした掴み所のないビジョンは効果的ではありません。
例えば「お客さま目線で誠実に対応する」といったビジョンは、立派ですが具体性に欠けています。具体的なビジョンの端的な例として良く挙げられるのは Amazon のビジョンです。 Amazon は創業当初から一貫して「地球上で最もお客さまを大切にする」「地球上で最も豊富な品揃えを持つ」というビジョンを持ち、ステークホルダーへ共有することで成果を挙げてきました。例えば、年に一個以下しか売れない品物たちが Amazon の売り上げにおける80%を占めているという、いわゆるロングテール戦略は有名な手段です。ニッチな商品を欲する顧客を大事にし、ほとんど売れない品物でも取り揃える、という戦略は、まさしく Amazon が示すビジョンに適っているものであることが分かります。

また、完璧主義である必要はありません。激しく変化する状況を観察して即座に決断し、行動することが重要です。時にはまったく経験したことがない状況に遭遇することもあります。そのような場合には完璧な決断などできるはずがありません。直観に基づいて行動したのち、行動結果を観察することで状況判断を改め、より良い意思決定と行動へ繋げていく方が建設的です。

計画を出発点としないことも気を付けるべきポイントです。プロジェクトに与えられるのは達成すべきミッションであり、具体的な方策や手段、方法論、計画などはプロジェクトに携わるメンバーが状況に応じて構築していきます。いわば現場主導主義であり、プロジェクトメンバーの活動が与えた権限やリソースの範囲内である限り、ミッションを与える上層部は口出しをしない方が良い場合がほとんどです。

OODAループのまとめ

今回はOODAループの詳細、そして、日本の企業に多く見られるPDCAサイクルとOODAループとの比較、ビジネスの現場においてOODAループを導入する際に気を付けるべきことなどを紹介いたしました。

マネジメント理論は軍事の分野から輸入されたものが多く、OODAループもまたアメリカ空軍でパイロットの意思決定モデルが様々な分野に適用されるようになったものです。観察、状況判断、意思決定、実行のプロセスを高速で繰り返すことによって常に変化する状況において有利を取るための方法論であり、現代のビジネスに適したマネジメント手法として歓迎されています。

一方、PDCAサイクルとは対極的な特徴を持っているために日本でも注目を集めているOODAループですが、適用目的や導入しやすい分野はOODAループとPDCAではそれぞれ異なるため、用いる際にはいくつかある注意点を忘れないようにしましょう。

もし挑戦的なプロジェクトにおけるマネジメントがうまくいかないとお悩みのようでしたら、OODAループにおける最初の一歩、観察(Observe)から始めてみてはいかがでしょうか。

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