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プロジェクト管理におけるコミュニケーションマネジメント

2019/09/03

プロジェクトマネージメント

コミュニケーションのイメージ

プロジェクト管理者の主たる仕事はコミュニケーションマネジメントであると言っても過言ではありません。

プロジェクト管理者の仕事のうち、実に90%はコミュニケーション関係に費やされると言われています。プロジェクト管理者は伝達事項、すなわちプロジェクトの進捗状況を、あらゆるコミュニケーション手段を用いて送受信します。プロジェクト管理者は異なる文化的・組織的背景を持つステークホルダーの橋渡し役を務めるのです。

プロジェクト管理の世界標準とされるPMBOK(ピンボック)ガイドにおいても、「コミュニケーションマネジメント」はプロジェクト管理者が実施すべき10のマネジメント領域のひとつに位置付けられています。

今回はPMBOKガイドに定められているコミュニケーションマネジメントについて解説していきます。

コミュニケーションマネジメントとは

PMBOKガイドでは、コミュニケーションマネジメントをこのように定義しています。

「プロジェクトとステークホルダーの情報ニーズが、資料の作成と効果的な情報交換を達成するために意図された活動を通して、満たされていることを確実にするために必要なプロセス」

端的には「ステークホルダー間における情報の交換を円滑に実施すること」と言い換えられるでしょう。このプロセスを達成するため、プロジェクト管理者はコミュニケーションマネジメントの計画を立て、実際にマネジメントし、計画が想定通りに進んでいるか監視する必要があります。

コミュニケーションマネジメントのプロセス

PMBOKガイドでは、プロジェクト管理におけるコミュニケーションマネジメントのプロセスを以下の3種類に分類しています。

  • コミュニケーションマネジメントの計画
  • コミュニケーションのマネジメント
  • コミュニケーションの監視

それぞれのプロセスについて簡単に説明します。

コミュニケーションマネジメントの計画

コミュニケーションマネジメントにおける最初のプロセスです。コミュニケーションマネジメント計画書を作成し、ステークホルダーのコミュニケーションに関するニーズに応えるための仕組みを構築します。

プロジェクトの初期段階で作成されると共に、定期的に見直され、ステークホルダー・コミュニティが変化した時や、プロジェクトが新たなフェーズへ移行した際に、必要に応じて変更されます。プロジェクト情報に対するニーズや情報伝達方法の差には大きな幅があるため、情報の保存、検索、および最終的な廃棄の方法は、各プロセスが進行している最中に見当し、文書化する必要があります。

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具体的には、ステークホルダーへの理解、コミュニケーションツールの整備、コミュニケーションにおける責任の明文化、メッセージにおける緊急度の設定、コミュニケーションがどれくらい複雑になるかの想定、といったことが含まれます。

コミュニケーションの複雑さは、コミュニケーション・チャネルや経路の総数を考慮して想定します。例えば6人のステークホルダーが存在し、それぞれが対等にコミュニケーションできる状態を想定してみましょう。この場合、6人全員を漏れなく線で繋ぐと15本の経路を見出すことができます。すなわち6人のコミュニケーション・チャネルの総数は15であり、15通りのコミュニケーションが発生することになります。

コミュニケーションのマネジメント

プロジェクト管理者が情報の橋渡しを行うプロセスです。コミュニケーションマネジメント計画書に従い、ステークホルダーから情報を収集し、配布します。

適切な技術や方法、技法の選択を含め、効果的な全てのコミュニケーションのすべての側面を特定します。コミュニケーション活動に柔軟性を持たせるため、ステークホルダーとプロジェクトの変化するニーズへ対応するための方法と技法を調整する
具体的には、会議を実施したり、コミュニケーションのメディア(媒体)を選択したり、ステークホルダーへの積極的な傾聴によって相手の気持ちや考えを相手の立場に立って理解したりと、ステークホルダー間の情報の流れが効率的・効果的になるよう調整します。

メディアの選択について補足しますと、これは例えば、口頭ではなく書面で伝達する場合はどのようなときか、正式な報告書ではなく略式のメモとして残す場合はどのようなときか、といったことを予め決定しておくものです。

コミュニケーションの監視

プロジェクト管理者によるアフターケアのプロセスです。コミュニケーションマネジメント計画書に従い、情報伝達が正しく実施されているかどうかを監視し、適切な対応を行います。

プロジェクトとステークホルダーの情報ニーズを満たし、双方が互いに正しい内容を理解できるメッセージがやりとりされているかどうか注意深く監視します。監視においては様々な方法が必要となります。顧客満足度調査、チームの観察、ステークホルダー関与度評価マトリックスなど、種々の方法を用います。

監視に先んじて実施される「計画」と「マネジメント」のプロセスを繰り返し、監視プロセスにおいて評価することでコミュニケーションの有効性を改善していきます。

コミュニケーションの有効性は、特に作業パフォーマンスに表れます。言い換えるなら、作業パフォーマンスが悪化している場合、コミュニケーションが円滑に行われていない可能性があります。作業パフォーマンスは状況報告書あるいは進捗報告書として、ステークホルダーへ共有されます。状況報告書にはアーンド・バリュー・グラフとその情報、傾向線と予測、予備のバーンダウン・チャート、リスクの要約、等々が記載され、コミュニケーションを改善するための指標となります。

コミュニケーションの分類

プロジェクト内におけるコミュニケーションは「情報交換のメカニズム」および「コミュニケーション活動の対象」を軸として分類できます。情報交換のメカニズムは「方法」による分類であり、コミュニケーション活動の対象は「誰に向けたものか」という観点に基づく分類です。

例えば上場企業がサイト内で公表する決算書は、メカニズムとしては「書面かつ正式な書類」であり、コミュニケーション活動の対象としては「正式かつ公式なもの」と位置付けることができます。

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プロジェクト管理者は、情報交換のメカニズムとコミュニケーション活動の対象に基づき、プロジェクトにおける過去・現在・未来のコミュニケーションを網羅することができます。この分類によって、プロジェクトにおいて不足しているコミュニケーションが何なのか特定しやすくなります。

情報交換のメカニズム

具体的な情報交換のメカニズムは、以下のようにまとめることができます。

伝達手法:特徴書面:物理的または電子的
口頭:対面またはリモート
正式または略式:正式な書類またはソーシャルメディアなど
身振り:口調や顔の表情
メディア:写真、行動、簡潔な言葉の選択
言葉の選択:一つのアイデアを表現する一つ以上の様々な語句

ある情報が交換される際のメカニズムは必ずしも単一ではなく、複数の特徴を併せ持つことが多々あります。

コミュニケーション活動の対象と側面

コミュニケーション活動の対象と側面は以下のように分類できます。

対象:側面

内部:プロジェクト内および組織内のステークホルダー
外部:顧客、ベンダー、その他の外部ステークホルダー
正式:正式な会議(定例および臨時)、会議の議題と議事録など
略式:電子メール、SNSなど簡略的なコミュニケーション活動
書面と口頭:口頭(言葉と声の抑揚)と非言語(ボディランゲージ)
公式:年次報告書、規制当局や政府機関への報告書
階層へ対するもの

上方:上級経営層のステークホルダーへ向けたもの
下方:プロジェクトの作業に貢献するチームなどへ向けたもの
水平:プロジェクト管理者やチームの同僚へ向けたもの

情報交換のメカニズムと同様、コミュニケーション活動の対象もまた、複数の特徴を併せ持ちます。

コミュニケーションをうまく成立させる方法

コミュニケーションが成功しているイメージ

コミュニケーションをうまく成立させるために、PMBOKガイドでは2つの方法が示されています。

  • コミュニケーション戦略を策定する
  • プロジェクト伝達事項を構成する

2つの方法について簡単に説明します。

コミュニケーション戦略を策定する

ステークホルダーにとって効果的なコミュニケーションとなるよう、戦略を開発します。コミュニケーション戦略の開発結果はコミュニケーションマネジメント計画書として策定され、適切な情報がさまざまな形式や手段でステークホルダー間にて確実に交換されることになります。

プロジェクト伝達事項を構成する

プロジェクトにおいて伝達される事柄は、コミュニケーションの効果を監視する際の指標となります。具体的にはコミュニケーションマネジメント計画書において、以下のような事項が記載されます。

コミュニケーション生成物の

収集
作成
配布
保存
検索
マネジメント
追跡
廃棄

これらがプロジェクトの進行時に伝達されるべき事項であり、計画段階で抜けや漏れが発生しないように策定されます。また、プロジェクトを監視する際には上記の事項が注目すべきポイントとなります。

誤解への対処

コミュニケーションマネジメントにおいて、ステークホルダー間に発生する誤解を減らすことは必須です。コミュニケーションにおける誤解とは、情報の発信者と受信者における解釈の齟齬に他なりません。

PMBOKでは誤解を減らすための具体的な方策として、5Cという考え方や、管理者が習得すべきコミュニケーションスキルが示されています。

ですが、どれだけ綿密に計画を立て、コミュニケーションを監視していても、誤解の発生を消滅させることはできません。プロジェクトの進行中、誤解による衝突が発生した際には、誤解の解消へ向けてプロジェクト管理者が行動する必要があります。

コミュニケーションの5C

欧米では書面によるコミュニケーションについて、5Cという考え方があります。

  • 正しい文法と正しい記述(Correct)
  • 簡潔な表現と過剰な言葉の排除(Concise)
  • 明確な目的と読み手のニーズに合った表現(Clear)
  • アイデアの分かりやすく論理的な流れ(Coherent)
  • 言葉とアイデアの流れのコントロール(Controlling)

以上の5つの「C」を心がけることで、情報伝達の際に発生する誤解をある程度、システマチックに減らすことができます。

コミュニケーションスキル

コミュニケーション上の誤解を防ぐため、プロジェクト管理者には以下のようなコミュニケーションスキルが要求されます。

積極的傾聴:相手の気持ちや考えを相手の立場に立って理解する態度
文化的および個人的な違いの認識:ステークホルダーの文化的および個人的な違いを認識する
ステークホルダーの期待の特定、設定、およびマネジメント:ステークホルダー・コミュニティ間の衝突を減らす
スキルの向上:以下のような活動でチームメンバーのコミュニケーションスキルを向上させる

  • 行動を起こすように説得する
  • 動機付けや励ましによって安心感を醸成する
  • パフォーマンスを改善するために適切なコーチングを実施する
  • 承認や決定の遅延を減少させるために交渉力を発揮する
  • 衝突を解消する

注目したいのは、チームメンバーのコミュニケーションスキルを向上させることもプロジェクト管理者のコミュニケーションスキルに含まれている点です。プロジェクト管理者がすべての情報の掛け橋となることは、現実的に不可能です。

コミュニケーションマネジメントのまとめ

今回はPMBOKガイドに定められたコミュニケーションマネジメントについて解説しました。PMBOKにおいて、コミュニケーションマネジメントは「プロジェクトとステークホルダーの情報ニーズが、資料の作成と効果的な情報交換を達成するために意図された活動を通して、満たされていることを確実にするために必要なプロセス」と定義されます。

また、「コミュニケーションマネジメントの計画」「コミュニケーションのマネジメント」「コミュニケーションの監視」といった3つのプロセスからなります。これらのプロセスを着実に実行することで、プロジェクトに関するコミュニケーションの成功する見通しが高くなります。

一方、コミュニケーションには誤解が付き物です。誤解を完全に無くすことはできませんが、誤解の発生を抑制するために様々な手法があります。プロジェクト管理者は5Cの理解や、コミュニケーションスキルの向上を通して、誤解の抑制に努める必要があります。また、誤解が発生した際には解消に向けて行動する必要があります。

コミュニケーションマネジメントに関する知識と経験を得ることで、プロジェクトをよりスムーズに運営できるようになるでしょう。

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